12/20 高齢者の健康を守るヨーグルトとチーズの機能性

東北大学大学院農学研究科教授 齋藤忠夫先生です。昨年の「筋肉と筋力が落ちないための食事学」(7/13)に続き講義をしていただきました。

本日は、咀嚼や食欲が落ちても摂取が可能なヨーグルトとチーズのお話です。

ヨーグルトとチーズのそれぞれの機能性を以下に要約しました。

ヨーグルトの機能

ピロリ菌を排除し胃がんを防ぐ

LG21という乳酸菌を加えたヨーグルトが2000年に発売された。この乳酸菌は、乳酸で胃の中のピロリ菌を減らし排除する効能がある。

インフルエンザ罹患防止

乳酸菌R-1が作る多糖が小腸から吸収されNK細胞を活性化してインフルエンザウイルスを駆除。小中学生がこのR-1ヨーグルトを半年間飲み続けた結果、インフルエンザの罹患率が大幅に減少することが証明された。

痛風を防ぐ

乳酸菌PA-3は、血液に溶解できない尿酸を分解して尿酸量が減少につなげ痛風の発症を減少させる。

肥満を防ぐ

便の移植などの実験で腸内細菌が肥満に関係していることがでわかってきた。ガセリ菌ヨーグルトは皮下脂肪減少を促す作用があることもわかった。

その他、血圧を下げる、骨粗鬆症を防ぐ、アレルギー予防改善、大腸がん、便秘などに効果があることが確認されている。

チーズの機能

虫歯を予防

プラークPHの低下を中和し、乳のリン酸カルシウムがエナメル質に空いた穴をふさぐ効果がある。

認知症を予防

カマンベールチーズでアルツハイマー予防できることがマウスで証明された。チーズを食べ、赤ワインを飲む方には「認知症」が少ない、という研究結果もある。

骨粗しょう症を防ぐ

チーズは牛乳を10倍濃縮されているので牛乳の10倍のカルシュウムを含む。その吸収率は約40%と他のカルシュウム食品より吸収されやすい。

メタボ予防

チーズは少量で多量のカルシュウムが取れる。カルシュウムは内臓脂肪の蓄積を減少させチーズペプチドなどが脂肪細胞を正常化させる。

サルコペニア(筋肉減少)の予防

ロイシン、イソロイシンなどの分岐鎖アミノ酸が筋肉を増やす。

★日本人の一人当たりの消費は2.2Kg/年(6.6g/日)。フランスは日本の12倍、オランダは9倍。もっとチーズを食べましょう!

★少しきつめのウォーキング等で筋肉に負荷をかけ、運動後30分以内のゴールデンタイムに牛乳1本を飲むことで確実に筋肉は増える。筋肉は何歳からでも増やすことはできます。

★日々の食事内容と運動に留意して健康寿命を伸ばし、介助や介護を必要としない素晴らしい老後を今から準備することが大切です。

★元気健康フェアが来年も開催され(3/31~4/1)ます。国際センターが会場ですので皆さん足を運んでください。