7/25 「戦国武将の漢詩~兼続と政宗~」

今日の学習の講師は、宮城教育大学教育学部 名誉教授 島森 哲男  先生です。

始めに、戦国武将の漢詩に関心を持ったのは仙台市史の編纂された中に伊達政宗の漢詩を読み、その後、中国の長江に1年程滞在して漢詩を読んでいて伊達政宗に興味を持つ様になった。帰国後、大和市民センターで漢詩を読む機会を持ち、戦国武将の武田信玄、直江兼続、伊達政宗3人の漢詩解説本を3年間掛けて作成し、論文を書くよりも漢詩に心を惹かれたと、お話しをされて、配布資料の漢詩を読み,その解説をされました。


 ◎直江兼続( 1560~1620)

    ・織女惜別  織女(しょくじょ)別れを惜しむ    

二星何恨隔年逢   二星(にせい)何ぞ恨みん 年を隔てて遭うを

今夜連床散鬱胸  今夜床(しょう)を連ねて 鬱胸(うつきょう)を散ず

私語未終先酒涙  私語(しご)未だ終わらざるに 先ず涙を酒(そそ)ぐ

合歓枕五更鐘   合歓(ごうかん)枕下(ちんか) 五更(ごこう)の鐘(かね)

    ・逢恋  逢(あ)う恋(こい)

風花雪月不関情 風花(ふうか)雪月(せつげつ) 情に関せず

邂逅相遭慰此生 邂逅(かいこう)して相逢(あいあ)わば 此(こ)の
        生(せい)を慰む

私語今宵別無事 私語(しご) 今宵(こんしょう) 別るれば無事(ぶじ)

共修河誓又山盟 共に修む 河誓(かせい)又た山盟(さんめい)

(上記2詩の解説)
 直江兼続は米沢にいて、配下の者を二十数名引き連れて高畠の亀岡文珠
に参拝して百首奉納したものから抜粋、漢詩作成には,当初にテーマが、
何通りか与えられ、各人に割り振られて作らている。
 兼続の漢詩は戦国武将に違わず、男女の惜別の情景や、永遠に変わらぬ
愛の誓いが艶めかしく表現されているが、武将としてのエピソードの表現とも言える。

◎伊達 政宗(若林城の屏風に揮毫)

  厳中 周噩 (げんちゅう しゅうがく)(1359~1428) 

    ・風橋夜泊図 楓橋(ふうきょう)夜(や)泊図(はくず)

月落姑蘇城外天 月は落つ 姑蘇(こそ)城外(じょうがい)の天

狐篷霜白宿江煙 狐篷(こほう) 霜(しも)白く 江煙(こうえん)に宿す

寒山鐘似与愁約 寒山の鐘(かね)は愁(うれ)いと約するに似(に)て

不到官船到客船 官船(かんせん)に到らず 客船(きゃくせん)に到る

(上記の解説)
政宗公は若林城に在住中に、周噩坊さんの漢詩は自分の心境を読んで
いると考え、即ち武力で天下統一した家康に美人を奪われ、官船で宴
をしているが、政宗は客船から、寒山寺の鐘の音が耳に入ってくる、
この美的鑑賞はまかせろと読み取って、屏風絵に書き込んだと思われる。

 (仙台市博物館に所蔵)
最後に漢詩を読み、その地を訪ね歩くと、漢詩の深い意味が含まれて
いることが理解出来る旨、お話しされ結びとなりました。

 

 

 

 

 

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