11/13 世界の大豆:食卓から畑まで

本日は「世界の大豆:食卓から畑まで」と題して東北大学 名誉教授の国分 牧衛先生からご講演頂きました

講師紹介   国分 牧衛 先生

昭和48年  3月 東北大学農学部  卒業
昭和48年  4月 農林水産省  東北農業試験場 研究員
平成  2年  4月 農林水産省 農業研究センター 研究室長
平成  8年  4月 国際農林水産業研究センター 国際研究情報官
平成12年  4月 東北大学  大学院農学研究科 教授
平成27年  4月~現在 東北大学 名誉教授

 世界の伝統的な食の類型

・東・東南アジア: イネ + 大豆
・ヨーロッパ: ムギ類 + 畜産物

・アフリカ: ミレット(雑穀でアワ キビ ヒエなど) + ササゲ

・アメリカ大陸: トウモロコシ、ジャガイモ + インゲンマメ、ラッカセイ
・大豆の利用:代表は豆腐
「豆腐百珍」は江戸時代の料理本でベストセラーになり庶民に親しまれました

 大豆以外の豆類と代表的な食品

アズキ:餡、甘納豆、菓子、赤飯、汁粉
ラッカセ:煎り豆、ピーナッツバター
インゲンマメ: 餡、菓子、煮豆
ソラマメ: 煮豆、煎り豆、豆板醬
キマメ: 未熟種子は煮豆、完熟種子はダルに(ダルとは、豆を水につけると割れ粉にして乾燥したもの)
ヒヨコマメ: 煮豆、煎り豆、ダル、粉にして菓子に
レンズマメ: ダル、粉にして菓子に

 大豆の成分

栄養成分
 大豆のタンパク質(35.3) 脂質(19.0)が 豊富で「畑の肉」と言われている
・大豆の機能性成分と主な生理作用
 タンパク質 : コレステロール低下 リノール酸 :コレステロール代謝改善 オリゴ糖 : 整腸
 レシチン : 脂肪代謝改善  サポニン: 抗酸化能 イソフラボン: がん・骨粗しょう症予防
  大豆は機能性成分の宝庫です。
・豆の食材としての将来
 1  粒のまま加熱、加水  2  成分抽出後に加工  3  発酵(旨味が出る、調味料)
 4  粉にして多様な食材として利用

 大豆生産量の推移

 南米の大豆栽培:不耕起播種法が普及

パラグアイ、イグアス移住地で不耕起播種法が行われている

* 不耕起栽培法の利点          * 不耕起栽培の問題点
・土壌流亡を防止できる             ○ 土壌物理性の変化・・・硬くなる
・敵期に播種できる               ○ 土壌科学性の変化・・・表面に養分蓄積
・地温上昇を防止できる               →根の深層へ伸長しない
・機械の経費が節減できる              →干ばつ害を受けやすい
                        ○ 雑草防除(耕起の主要な役割)が 難しい
                          ⇒除草剤耐性の遺伝子組み換え(GM)
                           品種への依存

まとめ

「不耕起栽培+除草剤耐性GM品種+非選択制除草剤」体系の問題点(生態系、食品の安全性を除く)

1・除草剤への依存度が大 ・除草剤散布量の増加 ・グリホサート剤への偏量→耐性除草種の出現
2 ・基本的な栽培技術の軽視・喪失 ・輪作の軽視→病害虫の増加、地力の低下
3・非GMダイズ生産農家との軋轢→共存は可能か?

アマゾン流域の森林損失⇒生物多様性の減少、CO2排出の増加

 本日の参加者 515名