2/10 伊達政宗の書ー自筆書状を中心にー

 本日の講師は東北歴史博物館主任研究員 塩屋 達也先生

                         先生の略歴

秋田県出身 東北大学大学院文学研究科博士課程修了

平成11年より東北歴史博物館勤務し数々の特別展を担当

書の楽しみ

研究者は書状の中身を読み解いて歴史を研究し事実を明らかにする立場にあるが一般の人は読み解くのは大変難しいので、研究ではなく書を見る時には、書き方や字の恰好良さも含めて見ていくと親しみが深くなります。

見る楽しみ

政宗の書状の特長は色々な字で書いても相手に通じれば良い、書き方はその時の状況によって、字体が変わり正宗の人柄が分る。

 

 

 

 

 

 

 

 

上記の書状は大崎一揆扇動の疑いが晴れた事を家臣に知らせた書状で勢いのある筆使いです。

書状は1枚折りで書いてあります。1枚折りの書き方は開くと上から下へ、次に下から上へ、最後に日付けが出るように書く。
当時の書状の形式と書き方です。

左記の書状は所領没収時の書状で筆に勢いがありません

 

漢詩は崩し字で書かないで楷書で書き、和歌は崩し字で書き使い分けている。

        政宗は中世から連歌・書道・茶道・香道・能楽など学芸をたしなむことを家風とする伊達家に生まれ育った。

 

 

 

 

 

 

読む楽しみ

政宗は和歌にも秀出ており粋人です

左記の和歌は母義姫が亡くなったことを悼む歌。   京で詠んだ歌で公家への返歌です。

(藤衣は伊達家の象徴)

政宗の署名書体も素晴らしい。

プライベートなことを書いている書状があり、人柄と仙台城に酒作りの杜氏を呼び寄せた程のお酒好きが書状でも分かります。

家臣や親しい人にフランクに書状を書く政宗の人となりが分かり親しみが持てる内容の書状です。

家臣に飲み過ぎを腹痛と言えと言い含めている、また覺範寺の和尚には昨夜は遅く迄遊び過ぎましてとか、昨夜も大いに飲み過ぎた、60歳も過ぎて分別無き事をして恥ずかしいと、反省の書状を書いている。

 

   花押

豊臣秀吉に大崎一揆を扇動したと疑われそれに対し政宗の花押は鶺鴒の目に穴が空いていると申し開きをした逸話がある。 晩年の花押は丸み帯びている。

 

 

 

書状の見方

内容を読むだけでなく、色々な視点からを見ていくと、相乗効果もあり親しく感じられ、見て楽しむことも大切と思います。

           本日の学習会出席者282名