2/26 ライフサイクルにおける発達課題とメンタルヘルス
講師紹介

渡部澄夫 先生
東北福祉大学福祉心理学科教授
渡部純夫(ワタナベスミオ)先生
文教大学人間科学部卒業
筑波大学大学院教育研究科修士課程修了
神奈川県総合リハビリテーションセンターに就職。その後、総合会津中央病院臨床心理士室長として勤務し
会津大学・福島大学・郡山女子大学・山形大学・桜の聖母短大等の非常勤講師を経て、東北福祉大学非常勤講師、専任講師・准教授を経て東北福祉大学総合福祉学部福祉心理学科教授・東北福祉大学大学院総合福祉学研究教授。東北福祉大学学生支援センター長。東北福祉大学体育会会長。東北福祉大学軟式野球部部長。学校法人梅檀学園評議員。学校法人福聚幼稚園評議員。東北福祉大学後援会代議員。入学者選抜委員会委員長。東北心理学会理事長
人間のライフサイクル
ライフサイクルとは、一生のうちに変化する時期の事で、8段階のライフステージある。
乳児期⇒幼児期⇒学童期⇒思春期⇒青年期⇒中年期⇒初老期⇒老年期です。
*ヨ-ロッパと日本の文化の違い
ヨーロッパはキリスト教が多く、教会へ行き神様との接点を求める。
日本の文化は仏教で、例えば畳の部屋を持つのは仏教思想,座る(座禅)横になる(瞑想)畳の部屋は神々 しい部屋です。日常生活の中で、自然界の中の至る所に神様がいると、子供の頃から教わって来た。その神様が見守ってくれて(褒める、しかる)を与えてくれるという倫理観、宗教観が自然と刷り込まれます。
*世代の違い
特に若い世代との違いは大きく、わからないことが多い
知らないことを、正直に知らないといえることが大切
知らないことに向き合う気持ちが大切で、知らない事を調べて知った時の喜び、嬉しさは人々の心の支えになる。
*神話
神様は人々が作り上げたものです。
人々は社会規範、正義などが滞りなく保たれると、思いを込めて出来上がったもので、社会が安定しているが・・・
その一方で苦しむ人もいます。
例えば、子供は可愛いもので、愛情をもって育てられるはずだ。
これに悩み、子供への虐待などに向かう母親もいます。
母も子供も違う人間で、お互い一個人であり、一個人は、それ以上分割出来ないもので、それ自体が大きな 価値があり、存在意味があるので理解することが大切です。
*神
神は絶対的存在で、完全なものを与える存在。
人間に完璧な人は、乳児から老年までを見てもひとりもいない。
人間は不完全であるがゆえに存在価値がある。悩みながら成長していく、困難と向き合いながら進む。
これは神から与えられた課題である。
人間性を形成しようとする姿勢。
人生を充実する為のライフサイクル
*幼少期
初の味覚は甘味、酸味(酸化した物の味)酸化した物は毒素が発生する為、本能的に嫌がる。
人間は生まれながらにして、成長して生きる為の力を持てるようにできています。
他の味覚は年々衰えるが、幼少期に覚えた甘味と酸味は最後まで分かる。
人間は最後まで生きようとする存在であり、本能的に誰しもが持ち合わせていること。
生命が維持する為の試みを、身体がいつも取り続けていて、人間はゴ-ルまで持ち続けながら生きる事でえす。
*愛情(愛着)
一生涯付きまとっていきます。
人間は愛するし、誰かと繋がっていたいと思うし、誰かと心の繋がりを持ちたいとおもう。 これは小さい頃の自分と母親の関係性がベースになっているが、母親に代わる人がいれば、父親でも、近所 の人でもよいのです。
愛情の提供者が母親でなければいけないということも、神話です。
愛情、愛着はおそらく高齢者になってくると、生き方生きざまが安心材料になる。
*想い出
認知症という問題がある、全国に何万人もいると言われています。
その人たちの思いはどんなもか、徘徊行動には意味があります。
・ある研究によると・・・
自分の役割、存在価値を愛情との関係性を通して、現していて誰かとの繋がりを作ってきた世界を想い出だしています。
思い出の時代を生き生きと、生きている実感を味わい経験している。
かけがえのない、ある時の生き生きとして生きてきた時の実感、証明
・実際の徘徊行動の徘徊例
息子に会いに行く・家に帰りたい・夕食の支度をする必要がある・洗濯物取り込み
・徘徊する人の歩き方と理由・・・
ぶらぶら 歩かずにさっさと歩く、それは目的があると推測できるが、本人はそれを説明出来ないだけ。
思い出は、誰が何といっても持ち続けて欲しいです。
自分自身が生きている実感を与えてくれる、誰も否定できない事だから。
*高齢者の生き方
・人が人に対して優しくできるか今の時代に問われている。
相手に対して自分自身をコントロールできることが、ライフサイクルを充実させる。
・死を迎えることは、自分の人生が充実していたかの確認作業
・高齢者の性格は、思春期から青年期に形成されたものが、高齢になると強まってくる。年を取ってから、自分自身がこれからどういう人生を送りたいかを、問題としてとらえる必要がある。
・人生で2回結婚をする
1回目…お互いに好きでする。(意思がある)
相手のことがよく分かっていない
子供ができると子供中心になる
子供が成長して家を出ると二人になって、相手を真正面から見ることになる
2回目…二人になると、覚悟と自覚が必要になる
これからの楽しい人生を送っていこうとの思いを持ち、確認するためのささやかで良いので、2回目の結婚(式)をする。
・人生のライフサイクルの中でも数の原理が生きる
1+1=2になって、さらに3~4になり、子供が自立すれば2になりやがて1になる。1になっても生き方に対する思い、充足感、充実感を自分の中に根付かせて、自己成長、自己完成を持ち続けてゴ—ルしてほしい…
仲間、友人、動物なんでも、何かとの繋がりの中で、感謝の気持ちを持ち、エゴに成らないようにする。
・若者対する役目
高齢者は、若者を育てる力、若い人を助ける力を上手に使ってほしい…
最後に先生から、「私の話が少しでも参考になれば、これ以上の嬉しい事はありません。有難うございました」おわり。
本日は、先生の学生時代の型破りなエピソードなども交えて、人間の在り方、生き方というものについて、老年期はどうあるべきか、わかりやすくお話して頂きました。有難うございました。
本日の出席者 545名