5/7 足は第2の心臓 ー いつまでも元気で歩くためのフットケアー
本日は、東北大学名誉教授 医療法人社団赤石会赤石病院整形外科 館 正 弘 先生から健康寿命を延ばす為には、下肢の筋肉を鍛え、フットケア、ネイルケアの大切さを詳しくお話して頂きました。
講師紹介
館 正弘先生
経歴
・昭和58年3月 東北大学医学部卒業
・昭和58年4月 聖路加国際病院外科
・平成1年4月 東京大学医学部整形外科医員
・平成4年4月 聖路加国際病院形成外科医幹
・平成10月1月 帝京大学医学部形成外科講師
・平成16年11月 東北大学大学院医学系研究科外科病態学講座形成外科学分野 助教授
・平成19年4月1日 同 准教授
・平成19年6月1日 同 教授
・令和3年 4月1日 医療法人社団赤石会 赤石病院 形成外科 科長
所属学会
・日本褥瘡学会
・日本創傷治癒学会
・日本フットケア・足病医学会
専門分野
・形成外科一般、創傷治癒、褥瘡治療
1 足は第2の心臓であると言われている
心臓から送り出された血液は、体の筋肉の収縮で心臓に戻ってきます。下肢には体の筋肉の三分の二があるとされ、健康に歩くことで血液の循環に役立っています。
心臓の筋肉は通常鍛えることはできませんが、下肢の筋肉はトレーニングによって鍛えることができます。

足は第2の心臓
2 足を観察しよう!
足は脳から最も遠く(運動神経・知覚神経が最もながい)心臓からも最も遠い(到達する血管が最も長い)ため、さまざまな障害が発生しやすいところです。健康寿命と密接に関連している足を大事にするには、まずは観察です。
足の裏にウオノメやタコが出来ていませんか?
爪の変形や痛みはありませんか?
①足趾が黒ずんだり、歩いた後ふくらはぎが痛くなる場合は下肢の虚血が疑われます。すぐに医療機関で相談を、場合によっては重い病気が隠れてる事も…
②感染症
熱をもっていたり、腫れている場合は細菌による感染症が疑われます。
足趾に水虫がある時は、感染の進入口なるので要注意
糖尿病の方は特別な注意が必要、神経障害が足に顕著に表れる
足の変形や皮膚の乾燥・ひび割れが起きやすくなる、歩行距離を延ばすのは危険
正しく立ち、歩くようにしましょう!

良い姿勢で立ち・歩きましょう
3 フレイル・サルコペニアの予防について
元気に歩くためには栄養をきちんと取ることが重要である
「のどぼとけ」を動かすトレーニング、嚥下訓練、『ぱ・た・か・ら』体操も有用
- フレイル・サルコペニア
- 嚥下機能を鍛える
4 高齢者と糖尿病
*65歳以上の22%は糖尿病である(2017年国民健康・栄養調査)
*高齢者糖尿病は認知機能障害・フレイル・転倒・骨折・うつなどの老年症候群の割合が2倍になる
*食事療法-適正なエネルギーと十分なタンパク質摂取が推奨されている
*運動療法-有酸素運動に加えて、レジスタンス運動・多要素の運動が推奨されておりレジスタンス運動は椅子を使ったスクワット週2回45分でフレイルの指数が改善
- エネルギーとタンパク質
- 高齢者と糖尿病
- 糖尿病
5 筋トレが必要
ウオーキングだけでは筋肉量は維持できない
自分の体重で軽い負荷をかける筋肉トレーニングがお勧めです

6 転倒予防
転倒予防には転倒教室や「足指じゃんけん」等のトレーニングが有用である
- 足指じゃんけん
- 転びやすい歩き方
7 水虫(足白癬・爪白癬)の予防と治療
全国の疫学調査では5人に1人は足白癬と言われています。
① 白癬の予防:足は足趾、足趾の間、爪まで丁寧に毎日洗い、保湿剤を塗りましょう
(足趾とは指全体のこと)
② 十分な軟膏の量を使用し、最低一か月は治療しましょう
③ 白癬は転倒のリスクにもなるため、しっかり治療したい難治療の疾患です
- 水虫の感染経路
- 白癬の予防
- 足白癬の治療
8 ネイルケア
爪は長く伸ばして決して短く切らず、スクエアーオフを実地しましょう
爪を短く切っている方は、爪を伸ばしましょう。痛みがある場合テーピングも有効です
- 爪の切り方
- 爪切り
9 陥入爪と巻き爪
陥入爪は爪がくい込んで痛みが生じる。爪を短く切りすぎている場合が多いです。
巻き爪は様々な原因で生じますが、歩かなくなると爪は巻いてくる性質を持っていますので気をつけてください
10 良い靴のポイント
①かかとを深く包み、ある程度硬い靴を選ぶ
②足趾の付け根で曲がり、その他の底部はしっかりとした強度がある
③甲で締め付けられる構造になっている
④サイズは中敷き(インソール)に乗って1cm余裕がある

靴の選び方
まとめとして-しっかりと足を観察し、糖尿病・感染症に気を付けましょう。
水虫はしっかり治して、フレイル予防に筋トレをしましょう。靴選びは正しい知識を知り選んで下さいとの事でした。