1/24SDGs 私たちにできること

本日の学習は「SDGs私たちにできること」と題し、尚絅学院大学特任教授 長谷川 公一先生をお迎えして、SDGsの意義、課題となること、そして私たちがどのように取り組めるのかということについてご講演をいただきました。
講師紹介
尚絅学院大学 特任教授 長谷川 公一 (ハセガワ コウイチ)先生    
       東北大学名誉教授・公益財団法人みやぎ環境とくらし・ネットワ-ク理事長

長谷川 公一 先生

 1984年 東北大学教養部 講師
 1997年 東北大学文学部 教授
 2014年 国際社会学会 クリスタル アウォ-ド賞                      受賞
 2020年 尚絅学院大学 人文社会学群 特任教授
○研究分野 公共社会学・環境社会学:環境問題に取り組み、持続可能な未来に向けて環境社会学の体系化に努めていらっしゃいます

○著作 社会学 新版 共著 (有斐閣)
環境社会学入門~持続可能な未来をつくる (ちくま新書)他
    

 

2024年の意味は?-危機の時代
 新年早々の能登半島地震による災害の拡大は現在も進行中です。他の地域に目を移せば欧州のウクライナ戦争に加えて中東でのパレスチナ紛争も起きて、国内外とも緊張が高まっています。
私たちは不安に怯え、見通しのつきにくい、民主主義も危うい、リ-ダシップも不在という大きな分岐点を迎えております。

 SDGs(sustainable development goals)とは
  日本語訳では「持続可能な開発目標」
「経済」「社会」「環境」の調和(バランス)の達成を求めることが2030年を目標に2015年の国連総会で採択されました。

「貧困をなくす」「飢餓を0に」「全ての人に健康と福祉を」「質の高い教育を」「ジェンダ-平等を実現しよう」「安全な水とトイレを世界中に」「気候変動に具体的な対策を」「平和と公正をすべての人に」など、17のグロ-バル目標を掲げました。これらの目標に向かって各国の実情に合わせて最大限の努力をしていきましょうという国際間の約束です。
そこには「だれ一人取り残さない、すべての人のための目標達成をめざし、もっとも脆弱な立場の人びとに焦点を当てる」という人間の求めるべき崇高な思想が込められています。
developmentという英語には実は「開発 発展 成長 発達 発育 啓発 進歩 前進」など多義な意味があります。ですから私はSDGsは将来世代をも見据えた「持続可能な未来のための目標」という訳に置き換えることを提唱します。ただこのSDGsには次のように難しい実情があるということを指摘しておきたいと思います。例えば「南北問題」は先進国と発展途上国と言われる国の間の格差の問題です。
また、コロナ禍や各地での紛争、飢餓など困難な問題を抱えているのが世界の実情です。さらには動植物と人間は生態系を共有しているという事実(共存)を見つめる必要があります。
現時点での達成度ではフィンランドが1位、日本はアジアでは最上位ですが世界のランク付けでは21位です。原因の一つにジェンダ-部門(国際指標:女性国会議員・経営者)がたいへん弱いことと言われています。
 SDGsの意義・長所
  SDGsは総花的とか、画に描いた餅とか、罰則規定がない、企業活動にとって隠れ蓑的といった批判も根強いのですが、私は全体としてとらえるとよいことと肯定的にとらえております。

 バックキャストという考え方
2030年の到達目標は高い水準にありますので困難なことと考えがちですが、私は少しずつ積み上げることで目標に近づけるという従来の発想から抜け出し、「バックキャスト」という考え方を提案したいと思います。
それは「ありたい未来の姿」から現在を照射して、どうしたら将来目標に迫れるのか、そのために今なすべきことはと考え方を切り換えることです。仙台育英学園野球部を率いた須江航監督は千日で甲子園優勝を成し遂げるためには、今何をなすべきなのかと逆算して計画に取り組みました。
2050年Co2排出0は難しい目標ですが、それに向かって「今どうすればいいのか」と問い、考えを実践することが大切と私は考えます。

 脱スパイク運動はなぜ成功したか
 誰が、どの車がスパイクを履いたまま(フリ-ライダ-)なのか=非協力者が「見える化」されていたことなど下記スライドのように草の根的な取り組みが繰り広げられました。ここに困難なことへでも取り組めるというヒントがあると思います。

どうすべきか?

安ければよいという考えを切り換えましょう。環境によいもの、健康によいもの、地元の農業によいもの、地球にとってもよいものを選びましょう。
10円高くとも地元野菜を食べ、地域経済に力を与え、地域に貢献していただければと思います。
持続可能な社会の実現のためには、足元から、身近なところから、皆さんが自覚して取り組むことが大事なのではないかと思います。
ご清聴ありがとうございました。

 

 

本日の出席者は508名でした。

※能登半島地震への募金に当たり、多くの方々から心温まるお気持ちが寄せられました。
あらためて感謝申し上げます。