1/10 トンガ王国、アフリカ篇

今日の学習会は「途上国で考えたこと トンガ王国、アフリカ篇」と題し、吉備国際大学大学院国際協力研究科特任教授 秋葉敏夫先生を講師に迎え、伝染病の第一人研究者としてトンガ王国(WHOより派遣】、アフリカ(JICAより派遣)で約15年間に体験した経験に基づいた、貴重なお話をご講演いただきました。

講師紹介 秋葉敏夫 先生                    吉備国際大学大学院国際協力研究科特任教授

宮城県七ヶ宿町出身

           1978年 3月 東北大学農学部卒業                                            

1980年 3月 東北大学農学部研究科博士前期課程修了

1980年 3月 東北大学医学部細菌学研究所にて大学院研究生

1987年 6月 世界保健機構(WHO) トンガ

1994年 6月 国際協力機構(JIKA)専門家 マラウィ

           1998年 1月 リバプール大学大学院熱帯医学研究科

           2002年 6月 九州保険福祉大学 社会福祉学部 教授

           2019年 4月 吉備国際大学大学院 国際協力研究科 特任教授

途上国で考えたこと  トンガ・アフリカ篇

 

1.トンガ王国とは?

トンガ王国は南太平洋のポリネシアに位置する立憲君主制で170を超える島群からなる国です。人口は12万人で面積は26平方メートルで宮城県白石市とほぼ同じ面積です。

食糧が豊富でバナナ、タロ芋、キャサバ芋が沢山とれます。ちなみにバナナは家畜用のえさで人々は食べないということです。

 

2.日本とトンガ王国との関係

日本とは50年以上の外交関係を有し、特にトンガ王室と皇室との関係が深い。

トンガ王国ツィポー3世のサローテ王女は背が高くて有名であった、ツィポー4世の時に昭和天皇と皇后さまが来訪し、2015年4月のツィポー6世の戴冠式には皇太子時代の現天皇のと皇后さまが来訪されている。トンガ王国での女性は1.背が高い2.身体大きい3.鼻が潰れているが美人の条件と言われている。

 

3.福祉という言葉が必要ない国

 

食べ物が豊富な為に、飢えることがなく、例えば親が災害でなくたったとしても、隣近所の家が自然に面倒を見る体制が出来上がってる。

そういう意味で家族、地域の絆が強い。半面プライバシーが希薄である

 

 

日本の福祉制度

日本の福祉制度は戦争の影響で立ち遅れて、戦後まず初めに親を失った孤児や栄養失調の子供たちを救う為、例えばアメリカから脱脂粉乳を小学校の給食に導入するなど子供福祉法が制定されるに始まり、徐々に法律が制定された。

トンガと日本の違い

世界で一番幸せの国はどこ?

New Scientist(世界の雑誌が行った調査(世界65カ国)

〇自分が幸せと思っている国民の比率が一番高い国

1.ナイジェリア

2.メキシコ

3.ベネゼーラ

・・・16アメリカ

・・・40日本

4.アフリカで考えたこと

なぜ近代【15ー18C)ヨーロッパが世界を支配できたか?

 

近世ヨーロッパが世界征服できたのは、いち早く小麦や大麦の作る農業が発達して、余剰農産物を保存できた事、又、鉄を造り、それから銃等の武器を作る技術が発達し、それによって強力な軍隊組織できたこと。それに伴い航海術が確立されたことが第一の要素であった。

第二に、食べ物となる植物や家畜化しやすい動物が、それによって免疫に強い人間となった。

第三に、ユーラシア大陸は東から西への軸が一番長く移動しやすかった。

そして標的をアフリカ大陸、南北大陸と定めた。

一つの例として1532年起こったインカ帝国(現在のエクアドルからチリまでに及ぶ大帝国で日本の面積の3倍、最盛期の人口は1000万人)とスペインの戦争が挙げられる。船で南米に来たスペインの軍隊168人がインカ帝国の8万人以上の軍隊に勝利する。これは天然痘と麻疹のウイルスが持ち込まれ感染して、インカ帝国の人口が10分の1に減少した為である。

三角貿易 ヨーロッパよる搾取構造

ヨーロッパの国は豊富な綿布、武器、酒などの売買や武力行使によりアフリカの国々を植民地化し、同様南北アメリカに植民地化し、アフリカの黒人を奴隷としてアメリカ大陸に送り、労働者として働かせた。

そこで生産した綿花、砂糖、コーヒー、貴金属を自国に持ち込んだ三角貿易行を行い、搾取をしていた。

奴隷貿易

14世紀から19世紀にアフリカ大陸から南北アメリカ運ばれ奴隷の数は1000万人~2000万人と言われれている(総人口5000万人)、集められた奴隷は、ガーナのエルミナ城に収容され、船で2か~3か月かけて南北アメリカ連れていかれた。輸送の状況は劣悪で総人数の20%~30%の生存率だったと言われている。その子孫が現在の黒人の血に流れていると言われている。そのためにスポーツでの活躍の裏付けになっているとの説がある。

全体の流れの相関図

本日は秋葉敏夫先生より、トンガ王国の国民の豊かな精神と温暖な気候に裏打ちされた、自然の恵みの偉大さについて余すところなくお聞きしました。後半はアフリカ大陸の今まで知りえなかった暗い歴史について知る事ができ、人間の大切さ、尊厳について改めて考えさせられました。

秋葉先生、本当にありがとうございました。改めて御礼申し上げます。

本日の出席者は492名でした。