11/14 鉄道の発展と東北の活性化~仙山線交流電化試験の成果と活用を中心に~

今日の学習の講師は、東北福祉大学 教授 星山 幸男 先生です。

星山先生

はじめに~「よん・さん・とう」ダイヤ改正をご存じですか?~の問い掛けから始まりました。
50年前「昭和43年10月」は国鉄歴史上、画期的なダイヤ改正が行われ、全線交流電化、「みどりの窓口」が出来、コンピューターによる自動発券がスタート記念すべき日です。それは仙山線を利用して交流電化への試験を積み重ね、幾多の課題と問題を解決して、交流電化事業を実現したことをお話します。国鉄電化事業の歴史的変遷を理解して頂き、仙台市に歴史的に誇れるものがあることを伝承していきたい。

1.交流電化事業のねらいと意義

蒸気機関車から電化事業への近代化
・直流方式は5km毎、変電所が必要、コスト増(交流方式は25km毎)
・輸送密度の低い地方路線でも経済的に有利
・輸送力強化のため2万ボルトの高電圧への挑戦

2.なぜ仙山線が試験区間に選ばれたか!

・仙台市との接続路線で大きな電力の確保が出来た
・適度な勾配が有り、走行性能試験にてきしていた
・点検・修理の出来る機関庫(作並機関庫)があった              
・作並駅で直流と交流の接続試験ができる
・1日の列車運行本数が少なく、試験に十分な時間がとれる

3.試験の成果~大成功を収める~

(1)直流電化より経済効率が高い
(2)交流方式の採用~電化の範囲の拡大・鉄道網の電化の促進
(3)交流機関車は急勾配の多い地方路線旅客・貨物運搬に最適
(4)副産物として
 ・パンタグラフの軽量化・小型化~200kmの高速化⇒新幹線への応用
 ・交流・交直流電車の開発に繋がり→上野~仙台間の特急運行開始
 ・長大トンネルへの挑戦と運行が可能になつた

4.交流電化が東北地方にもたらしたもの

(1)1975(S32)年9月、仙山線、全国一番目の交流電化開業
(2)1959(S34)年~1968(S43)年迄に順次東北の幹線が交流化、複線化を実現⇒所要時間短縮・人の往来急増
(3)1959年「よん・さん・とう」記念すべきダイヤ改正実現
(4)貨物輸送の増大⇒貨物列車高速化・コンテナの開発に進む
(5)1964(S39)10月に東海道新幹線開業⇒仙山線交流化実現が基になる