5/19  自然観察の愉しみ方~森のおくりもの~

   講師 太白自然観察の森 自然観察センター館長 近藤晋也 先生

 

1. 観察について

観察とは・・・から講義が始まり 

①観とは、よく見る。脇から眺める 

②察とは、物事に通じてあきらかになる。と解説された。

西洋タンポポと日本たんぽぽの違いは何か?では外来種の西洋タンポポは花弁が反り返っておりナメクジが昇ってくるのを防いでいるのではとの事(上記写真左から3番目参照)

コロナ禍におけるソーシャルデイスタンスに関して、自然界においては「Keep Distace」のほうが互いへの思いやりであるとした。(上記写真左から1番目参照)

次に、動植物は我々人間とは全く異なる軸の中で生きている(下記写真左から2番目参照)

全ての事柄に理由があるとは限らない(下記写真左から3番目参照)

その一例として、ニシキ木のコルク状の翼は何のためにあるのか不明であり,未だ進化の途中にあるのではないか(下記写真左から1番目参照)との事であった。

様々なことに理由、理屈を求めてしまいがちだが、自然界には我々が知る由もない、想像を超えた事があると諦観しましょう。

2. 太白自然観察の森について

太白山太白自然観察の森(一周4Km)同様の自然公園が全国に10か所あり

森のレンジャーの仕事として森の維持管理や動植物の生態観察があるが、自然の大切さや楽しさを理解し自然が好き(人が好き)であることが重要なファクターになる。

3. 季節の植物

 1. 早春植物 (スプリング・エフェメラル)

カタクリの花について、英名Katakuri Dogtooth violet(犬歯のスミレ)3月の中旬に開花して約3か月で種子が実る。

カタクリの種子を運ぶのはアリで、ギンリョウソウはゴキブリやカマドウマが運ぶ。

種子の散布については動物散布と風散布がある。

①動物付着散布 (ヌスビトハギ、キンミズヒキ、オナモミなど)②動物被食散布 ③アリ散布、カタクリの種子はアリのおやつ(エライオゾーム)④貯食型散布 ⑤風散布(タンポポ、ケヤキ、ツクバネ、カエデ類など)

白花カタクリは数万株に1株出現すると言われ、その価格は数万円になる。

姫ギフチョウのイモ虫はカタクリの密を吸い、スミナガシの幼虫はフシグロセンノウやキンシランの密を吸う。

 2. 夏の植物

マムシグサの戦略 サトイモ科(テンナンショウ属)は飢饉の際に球根を毒抜きして食した。赤い実は有毒で性転換するので2~3年後には雄のみになる。

雄には花粉を運ぶ虫の脱出孔があるが、メスにはないので、花の中に虫の死骸が入っている。

常緑樹は7~8月は栄養分が枯渇するので剪定は4月とか9~10月が良い。落葉樹は葉が落ちた冬が良い。

 3. 秋の植物

紅葉の季節でクレマチス、ハンショウヅル、イロハモミジ、ヤマモミジ、ナナカマド、ウルシなどが色づく。

 4. 冬の植物

シャクナゲ、アオキなどの葉が窄む。

 5. 太白自然観察の森の動物

定点カメラを設置して赤外線撮影をしているが、太白の森には日本カモシカ、月の輪熊、リス、猪などがおり

イノシシの拡大する生息適地になっている。猪は大胆で人なれしやすく環境への適応力が高い。餌の対象が多種にわたる広食性で温順な性格である。

(冬鳥)

モズのハヤニエの話とキツツキはなぜ脳震盪を起こさないかのお話と、野鳥のヒナは見つけても持ち帰らないこととその理由について説明があり、人の匂いが付くと親鳥が育児放棄するので子育て支援に協力願いたいとの事であった。

森には、ルリビタキ、オオルリ、ウグイス、コマドリ、キビタキ、サンコウチョウ(人目つきやすい場所に巣作りする)などが生息している。

最後に、森で注意する事として、スズメバチや毒蛾への対処について説明があり講義を締めくくられました。

近藤先生が森に密着して常日頃観察なされた貴重な体験を聞いて、森に対する考え方を一新しました。

大変有難う御座いました。

本日の学習会参加人数は 296 名でした。