3/10 東日本大震災 ~それでも、下水は止められない~

あす3月11日は東日本大震災から10年、本日は仙台市南蒲生浄化センターの増子裕規所長から、大津波による浄化センターの被災状況、下水を守る必死の復旧、試行錯誤の水質改善、そして災害に強い未来志向施設への復旧について迫力あるお話を伺いました。

また、ホワイエではボランティア部による「3.11東日本大震災復興支援募金」、ホールでは震災犠牲者への追悼と復興への思いを込めて学習前に全員で黙祷を行いました。

講師紹介

増子 浩規(マスコ ヒロノリ)先生

仙台市建設局下水道事業部 南蒲生浄化センター所長

昭和54年 仙台市の土木職として入庁、今日まで土木行政一筋
東日本大震災時:下水道管きょ被害1次調査を総括
被災地支援:岩手内陸地震・熊本地震・令和元年東日本台風 

講師の増子浩規所長

1. 仙台市下水道の概要

国内で3番目に古い下水道事業。下水管の総延長は4,921km!

2. 南蒲生浄化センターの紹介

処理能力は1日40万㎥、仙台市民の70%の下水を処理

3. 東日本大震災での被災からの復旧

生活している限り「下水は排水」される ⇒ 浄化センターには下水が流れ続ける
~それでも、下水は止められない~

3-1 大津波襲来による被災

浄化センターに10.4mの大津波襲来
101名全員が管理棟屋上に避難し無事、しかし浄化センター機能は全停止!
⇒ 当日、夜通しで対策を話し合う

3-2 津波直後の行動

市内で下水を溢れさせないために、旧施設の放流ゲートを人力でやっと10cm程度開放

3-3 初期対応

下水がどんどん流れ続けてくる⇒まずは、放流ゲートの撤去で確実な放流を!
大変な作業を献身的に引き受けてくれた、建設業者と自衛隊の活動に感謝

3-4 復旧へのステップ

下水の使命を果たすため、応急復旧の3つの方針を立てる

応急復旧に向けた3つの方針

① 簡易処理(沈殿+消毒)の構築

汚れを沈殿させ、上澄みを消毒剤(次亜塩素酸ソーダ)で消毒し海へ放流

困難を極めた最初沈殿池のガレキ除去と汚泥処理

② 中級処理(簡易生物処理)の追加

同規模の下水処理施設では実績のない方法(接触酸化法)に挑戦!

処理水質が改善しない?⇒試行錯誤の毎日

4. 災害に強い未来志向型の浄化センターへ

通常の原形復旧ではなく、全く新しい施設を作る(Build Back Better)
地震や津波に強い施設、電源喪失時にも最低限の水処理可能、太陽光・小水力発電による「創エネルギー」を実現
解体から完了まで4年は驚異的 <スローガンは『見せよプロ根性!東北復旧のために』>

5. ”それでも、下水は止められない”(パート2)の紹介

今年2月13日福島県沖の地震、南蒲生浄化センターは震度6強相当の揺れで非常停止
~それでも、下水は止められない~
⇒応急措置による焼却炉の至急稼働で最悪の事態を回避

6. 下水道職員の思い ~下水道にも関心を~

下水は、停電・断水のようにニュースに出ないが、市民生活にとって重要なライフライン。
もっと下水道に関心を!

天ぷら油、日本酒、ビールも流さないで!

『皆様に下水道を優しく大切に使っていただきたい』と講演を締めくくられました

. 本日の出席者は288名でした