本日は、東北工業大学ライフデザイン学部 生活デザイン学科の2名の先生から、地域に密着した「暮らし」と「せいさん」(”生きがい”などの構築も含めたものづくり活動)のデザインについて、実践的研究事例を解説いただきました。

本日の講師 菊地良覺 特命教授(左)と伊藤美由紀 准教授(右)

1-1 東北工業大学における地域デザインのはじまり

 はじめに、東北工業大学副学長の菊地良覺 特命教授から、東北工大の概要、デザインとは何か、そして地域デザイン講座の歴史について説明いただきました。
東北工大に地域デザインの研究室を立ち上げた秋岡芳夫先生は、日本の工業デザイナーの先駆けといわれ、インテリア家具や学研の付録など
数多くのデザインを世に出した方とのことでした。

1-2 地域デザインの実践の内容紹介

 引き続き菊地先生から、下記の7地区に適用した地域デザインの実践的教育研究内容の紹介がありました。

①岩手県 洋野町(旧大野村)「一人一芸の村づくり」―地域の資源を活かす―
. 南部の赤松で”裏作工芸”の導入、全国に納品。おおのキャンパスの建設。
②北海道常呂群 置戸町 「社会教育が町をつくる」
. 
エゾ松を使った白い器、オケクラフト
③秋田県 能代市「暮らしに生きる新しいオケ・タル 」
④秋田市 大曲市「暮らしのための新しいクラフト 、曲げワッパ弁当」
.  ③&④ 秋田杉と伝統技術を活かし、現代の暮らしに生きる工芸をデザイン

⑤宮城県 仙台市(旧秋保町) 「新しい生活文化の創造を目指して」
. みんなが里に移り住んでものをつくる、職住一体が特徴の工芸の里
⑥宮城県 山元町 「動きの中から長期総合計画をつくる」
. 
町の総合計画のデザイン。田園空間博物館事業で国から表彰される
⑦宮城県 登米市(旧津山町) 「何でもつくれるまちづくり」
. 杉の間伐材の有効利用として、杉矢羽根集成材を共同開発

1-3 東日本大震災からの復興を目指した地域デザインの実践

 大震災による津波で壊滅的な被害を被った石巻市旧雄勝町の震災復興支援に、地域デザインを実践した事例の紹介がありました。

 雄勝町は国指定伝統工芸「雄勝硯」の生産地であり、復興計画も雄勝石産業の生業再生を目指したとのことです。以下は、産学連携復興事業のキーワードです。

① 短期・中期・長期の再生計画  
②「手のちから」プロジェクト…東北の工芸品の展示即売とウェブ販売
③「雄勝いしのわ」プロジェクト
. 企業からの補助金、学生の作業協力、「雄勝石キット」の考案
④「コトづくり」…ウニ祭り・ホタテ祭りの活動
⑤ 各種ワークショップ、ヒアリング、HPの制作協力、新製品の開発      

⑥ 調査と記録作成 …スレート民家・法印神楽・流失石製品(500点)
⑦ 雄勝硯伝統産業会館(5月オープン)の監修

 最後に、「雄勝の復興支援をよろしく」と 菊地先生はお話を結ばれました。

2-1 地域のくらし共創デザイン研究所とは

 続いて伊藤美由紀 准教授が登壇し、ご自身が所長を務める東北工業大学『地域のくらし共創デザイン研究所』の設立背景と、「なぜ今、共創デザインが必要なのか」について説明されました。伊藤先生は看護師の経歴をお持ちですが、「退院後の患者さんたちが健康に暮らすためには、地域・仲間・楽しみなど、病院の外に重要性がある」と感じて今の道に進まれたそうです。

研究所のキーワード  共に新たな価値を創り自立したくらしを

2-2 地域のくらし共創デザインの実践的教育研究の内容紹介

 伊藤先生からは、菊地先生が紹介した”生産地”の例に対して、”消費地”における地域デザインの実践例を紹介いただきました。

(1)仙台市 八木山地域(高齢化の進む丘陵地の住宅地)を中心とする まちづく

① 防災に関する情報交換と、得意・不得意分野で補い合ったり・助け合ったりする場としての「八木山防災連絡会」を設立。現在46団体が参加。

 防災連絡会の活動は東日本大震災後、思いがけない助け合いのシーンを生み出し、さらに様々な企画も出てきたそうです。人々も”せいさん”されたといえます。

② 八木山まちづくりプロジェクト(ハーブまちづくり・八木山みんなのカフェ)

 ハーブをツールとしてつながるまちづくりは、福祉のまち・幸せなまちづくりの活動。 ”ハーブまちづくり”は東北放送「サタデーウォッチン!」の取材がありました。

(2)仙台市 秋保野尻地区(高齢化と人口減少の進む中山間地)

 住民組織「野尻いぐする会」と協働で、”秋保の魅力発信”と”秋保でしかできないことを学んでもらう”活動を実施。

 以上の他にも、岩手県和賀郡の北部活性化推進事業、障害がある方との共創の活動 も紹介していただきました。

2-3 東北SDGs研究実践拠点

 最後に、大学が進める SDGs(持続可能な開発目標)の紹介があり、「東北工大ホームページの”プロジェクト研究所”のページをぜひ覗いてください」と講演を締めくくりました。

 本日の出席者は220名でした。