11/16 睡眠の自己点検と快適な睡眠のための工夫

本日の学習は東北福祉大学 水野 康 先生を講師に迎え、快適な睡眠が得られるための工夫についてお話をいただきました。 現代の社会環境は生活の夜型化・不規則化が進む中で生活リズムが乱れがちになっていること、これらに起因するさまざまな心身の不調の一つ睡眠の問題について、自身の生活習慣や生活環境を具体的に見直すことで心地よい睡眠が得られるとの貴重なヒントをご教示いただきました。
講師紹介
東北福祉大学教育学部                                                

教授  水野 康 (ミズノ コウ) 先生 

<主な略歴等>
・筑波大学大学院博士課程体育科学研究科修了・博士(学術)
・宇宙開発事業団招聘研究員
国立精神・神経センター流動研究員
・東北福祉大学教育学部教授
・研究分野 健康 スポーツ科学 睡眠 運動

1.睡眠の自己点検をしてみよう
 始めに、自分の睡眠の健康度について「眠りの自己点検 得点表」を用いて評価の仕方を説明されました。
睡眠維持・睡眠時随伴症・睡眠時呼吸障害・目覚め・寝つきという5つの分類を示し、その分類の下位に具体的な設問(例:夜中に目が覚める回数)が用意されていました。設問ごとに自己チェックをしますので会場の皆さんは興味津々で取り組んでおりました。
最後にチェックの結果を得点化し合計することで自分の睡眠健康度の全体的な傾向や偏り具合を推しはかることができ自分を
振り返ることに役立つことと思われました。

2.知っておくべき睡眠障害
<代表的な睡眠の障害(1)不眠>

短い期間の不眠や寝不足は心配には及びません。ただ1か月を超えるような不眠が続き左下スライドでいえば症状の程度が進んだことを示す右枠内の内容(昼間に眠くて仕方がない/疲れが抜けない/やる気がでない/集中できない)のいくつかが重なって当てはまるようでしたら医療機関の受診をお勧めします。
<代表的な睡眠障害(2)睡眠時無呼吸症候群>
眠った後に呼吸と無呼吸状態が繰り返され一晩の睡眠が著しく分断されます。長期間放置すると高血圧、糖尿病のリスクが増大します。自覚症状として激しいいびき/日中の過剰な眠気/起床時の口の渇き/起床時の頭痛などが見られます。この場合も早めの受診をお勧めします。

<代表的な睡眠の障害(3)むずむず脚症候群>
夕方から夜にかけてふくらはぎを中心に痛み、虫がはうような感じ、むずむず感など耐えがたく不快な感じを覚えます。通常の睡眠導入剤ではこの問題を解消できません。この症状をお持ちの方は日本睡眠学会専門医や専門医療機関への受診をお勧めします。

 3.睡眠と健康
健康被害や社会的・経済的損失の具体例、眠りをさまたげる要因とその対策について分かりやすく説明されました。
・慢性の睡眠不足により脳機能が低下し心身にさまざまな支障を生じさせます。肥満 高血圧 糖尿病 抑うつ 消化器不調 転倒リスク イライラ 作業ミスなど

・夜型の生活など程よく光を浴びない状態が続いた場合には、体内時計のずれから睡眠不良になることがあります。
※程よく光を浴びることでメラトニン(抗酸化作用や抗がん作用の効用)というホルモンが分泌されます。

・程よい活動、短時間のお昼寝(30分以内のウトウト)、活動後のリラックスタイムなど規則正しい
活が望ましいと言えます。
※「規則正しい」とは……例えば起床時刻や食事の時刻など、概ね一時間以内の範囲に収まっていれば良いと言えます。
決して堅苦しく考えず「ゆるさ」が長続きのコツです。

4.快適睡眠のための工夫
暮らしの中で実践できる方法や知識について分かりやすくお話していただきました。
・寝室は室温15°~26°、湿度50~60%くらいで、楽に寝返りができる寝具が望ましいです。
・寝具については掃除機による吸引、天日干しなどのダニ対策をしてください。
・廊下やトイレの照明は明るすぎず、寝室からトイレへの経路で足を取られそうなものは置かないよ
うにしてください
・寝酒で眠ろうとすると多くの飲酒が必要となります。コ-ヒ-などは特に高齢者ほど覚醒作用が長引きます。タバコは、喫煙直後はリラックス効果がありますが覚醒作用が続きます。
・入浴は就寝30~60分前くらい、ややぬるめがよいでしょう。温度が高めのお風呂が好きな人は
夕食前の入浴をお勧めします。

快適な睡眠を得られるよう工夫するに際し心がけたいこと、それは「無理をしない」ことです。
睡眠は疲れた心身の回復をサポ-トしてくれるはたらきがあります。ゆるさもある規則正しい生活習慣を心がけましょう。
                          ♦本日の学習会参加者は455名でした。