1/19  口の管理と健康について -特にがん治療に際して-

あなたは”かかりつけの歯科医”を持っていますか?
令和4年最初の学習会では、仙台医療センター 歯科口腔外科医長の後藤 哲先生から、口腔管理の重要性と”かかりつけの歯科医”を持つ意義、がん治療中の口腔機能管理について
お話しいただきました。

講師紹介

国立病院機構仙台医療センター 歯科口腔外科医長 後藤 哲(ゴトウ サトシ)先生


略 歴
昭和62年  東北大学歯学部卒業
昭和62年~ 東北大学歯学部付属病院
昭和63年~ 東北大学歯学部第一口腔外科
平成15年~ ドイツフライブルグ大学 口腔顎顔面外科研究員
平成29年~ 東北大学病院歯科口腔外科
平成26年~ 仙台市立病院歯科口腔外科
平成29年~ 国立病院機構仙台医療センター歯科口腔外科

 

冒頭で新型コロナの感染経路に触れ、『歯科治療を通じた感染拡大の報告はない、健康維持増進のため歯科治療の継続を!』と呼びかけがありました

「口腔外科」は全ての口腔トラブルに対応

口は消化器と呼吸器の入口で、のどには2つの穴がある
口は多くの機能を持ち、”歯だけではない” 様々な病気が発生する
「口腔外科」は、全ての口腔トラブルに対応する ”口・あご・顔面の外科”

”かかりつけ歯科医”を持ちましょう

”かかりつけの歯科医”がいる人は健康長寿です(6年間の追跡調査結果)
”かかりつけ歯科医”を持つ意義

①しっかり噛んで食べる(栄養状態を保つ・食べる楽しみ)
⇒オ-ラルフレイル予防・脳血流を増加・認知機能の低下防止
②歯医者に行く元気がある!
③口の中を清潔に保てる

口の中の細菌は体全体に様々な影響を及ぼす。大抵は自身の免疫力で処理できるが、免疫能の低い高齢者等は要注意。
口腔内細菌(歯周炎)が関連する病気は、狭心症・心筋梗塞・脳梗塞・糖尿病・関節炎・腎炎・誤嚥性肺炎など非常に多い。

がん治療と歯科治療(周術期口腔機能管理)

「周術期口腔機能管理」とは、がん患者に対し、がん治療中と治療前後に歯科医が行う口の中の管理のこと
●「がんの3大治療」【手術療法・化学療法・放射線療法】に対応して、「周術期口腔内管理」が実施される

手術療法(全身麻酔への対応)⇒抜歯・歯の固定(マウスピース)・口内を清潔に
化学療法(抗がん剤により体力と抵抗力が落ちる)⇒口内炎の疼痛緩和・あらかじめ感染源を取り除く
放射線療法⇒口内炎・放射性顎骨壊死・唾液腺障害への対応

まとめ

「がんにかかってからの口腔管理は、時間との勝負の中、限定的なことしかできません。日頃から口の中の管理を怠ることなく、また ”かかりつけ歯科医”を持ちましょう!」
と講演を締めくくられました。

*本日の出席者は416名でした