6/23 ニュースは何を伝えたか?~「Nスタみやぎ」の放送から~
今日の学習は、2年ぶりとなりました東北放送報道制作局長 今井 敦 先生です。
『ニュースは何を伝えたか? ~「Nスタみやぎ」の放送から~』と題し,ご講演をいただき
ました。
1.今一番のニュース
新型コロナワクチン接種等の状況について解説がありました。
宮城県の発表では65歳以上の高齢者の新型コロナワクチン接種率は6月21日現在、1回目 接種49.5%、2回目接種9.8%となっています。
新型コロナワクチンを接種したからと言って感染予防対策を緩めてはいけない状況になっています。
2.東日本大震災10年~次の10年へ
震災伝承 ・・・風化しているといわれる世の中でどのように伝えていくか。
防災・減災・・・未来の命を守るため、地震、津波災害への地域の取り組み。
復興とは?・・・明快な答えは得られず、地域に住んでいる人が感じること。
※テレビ放送は、日常の住みやすさを画面でどう伝えるかが難しい分野であり我々の永遠のテーマです。
◎「東日本大震災10年~大津波の教訓を未来へ」を放送
3月10日の放送では、Nスタみやぎキャスターと東北大災害科学国際研究所今村所長が様々な
お話をさせていただきました。
①津波を知らない世代が増えてきている、何が起きたのかを振り返り、それから10年たって
どう変わったかを伝える。
②防災、減災の観点から津波の検証をして、課題を示したい。
③被災された方や家族や知人を亡くされた遺族の方々の賢明な語り部活動を取り上げることで
震災を語り継ぐことの大切さを伝えたい。
上記3点でどのような取り組みができるか取材しました。
(1) あの日何が・・・10年後の今
・ 現在、石巻門脇地区は津波復興祈念公園として整備された。大きな被害を受けた気仙沼市は
宅地として開発され、気仙沼線では「BRT」が運行されています。
・ これをもって復興と言われることはなかなか難しいと考えており、これをもって復興と言う
のは違うのではないかと思う人も多いのではないか。
(2)津波の検証と防災課題
番組で取り上げたのは、「黒い津波」、証言によると初めは白かった。その内どんどん黒くなり
黒い津波になった。気仙沼湾の海底には狭窄部がありそこを津波が通ることにより流れが速くな
り土砂を巻き込み黒い津波になったとのこと。「黒い津波」の正体は、あれから10年後の今、
その海底がどの様になっているかまた、射流についても取材をすることができました。
黒い津波
・ 気仙沼湾の海底狭窄部(震災前水深平均10m、現在水深20m)において、約10mの厚
さの海底の堆積物が津波で削られたその量は10tダンプカーで約10万台分となりました。
・ 海底の堆積物を巻き込むことにより比重が海水に比べ重く、大きな船や家が流され被害が広
がりました。
・ 黒い津波の威力は通常の1.5倍の威力になったことがわかりました。
この検証で、10年経った今、津波の凄さを詳しく知ることができた。どこでも起こりうること
であり注意が必要とのことでした。
射 流
・ 射流とは水が高い所から一気に流れ落ちることによって速さを増す現象。
・ 宮城県内では復興事業で巨大な防潮堤が、総延長で233.8km整備された。
・ 気仙沼湾を想定した実験の結果では、5mの防潮堤では時速18km~21km、15mの
防潮堤では時速34km~54km程度で倍以上となりました。
防潮堤が高くなれば成る程、射流によって水の流れるスピードは速くなった。
(3)震災を語り継ぐ
自ら津波に遭遇し流されたが幸い生き残り今それを語り部として語り継ぐ活動が映像で照会され
ました。
・ 津波に流され九死に一生夫婦の思い(阿部 淳さん)
津波に流されたが幸いにも生かされ、今はそれを語り継ぐ活動をしている。水中土木工事を営み
当時野蒜地区に住み妻と共に津波に流された。地元の小学校で水の危険について教えていたが震
災当日は避難しなかった。
次第に後悔の念が募った。何故あの時避難しなかったのか、自らの失敗を語ることで同じ目に合
うような人が命を失うことの無いように語り部として取り組んでいます。
・ ”奇跡の救出”今伝えたいこと(阿部 任さん)
多くの若者が震災を伝えようとしている。10年前の3月11日石巻門脇地区の実家に帰省してお
り、高さ6mを超える津波で家ごと600m流され、祖母とともに9日後に無事救助された。奇跡
の救出といわれた当時16歳の高校生は、自分の体験は奇跡などではなく、失敗と後悔であり次の
災害への備えになると考えるようになりました。
自分が避難しなかったことによって皆さんに迷惑をかけてしまったことなどを伝え、今後災害に備
えていただけるような活動をしていきたい。
3.視聴者からの投稿ニュース
今、視聴者の皆さんから寄せられた情報をもとにニュースが生まれるケースが増えています。
その一例として石巻にいる2羽の白鳥について4月30日から5月28日までに6回放送された映像
が紹介されました。
・ 石巻の川に2羽のオオハクチョウ、羽を怪我をしておりシベリアへ帰れず。
・ オオハクチョウのひな4羽すくすく成長するもある問題が・・・
・ 人間が餌付けすることによってそこにとどまってしまい(農業への)被害が起きた。
・ 親から巣立ち、シベリアから来た白鳥と共に帰ることができるのか今後を見守つて行きたい。
4.Nスタみやぎの紹介
最後に、Nスタみやぎの紹介です。
増子さん4年目、三浦さん2年目、後藤君(阿部 任さんを取材)、菅生さん、須藤君、かなり若い
皆さん4人でやっています。
「きのうとちがう”きょう一日“を伝える。」ことで、白鳥がどうなったかご関心がおありの方はぜひ
引き続きご覧ください。
今井先生は、『Nスタみやぎはこれからも、震災、復興を最優先に取り組んでまいります。
減災、防災に関しても力を入れて進めていきたい。』と話され講演を終了しました。
本日の出席者数は280名でした。