8/23 「地形」を知って「命」を守る

~新しい地域防災へのアプローチ~
講師紹介 : 東北福祉大学大学院健康科学部 医療経営管理学科 専任講師 水本 匡起先生                                                                                                                  2017年に日本の主要活断層に認定された『身延断層』の発見者。地形的手法を用いて活断層の動きを解明する研究を行っている。近年は、地形の成り立ちに関する知見を取り入れた『新しいハザードマップの在り方』に関する研究や、地域固有の歴史・民俗文化を融合した『新たな地形防災』に関する研究にも精力的に取り組んでいる。

 

今回は、防災減災を考えるうえで重要な「地形」と、 その成り立ちの専門家、水本先生に「地球から考える防災減災」についてお話ししていただきました。

 

1 地球の発達とは、自然災害とは何か ~地形が過去の自然災害を教えてくれる~


地形を知ることで過去に起きた自然災害の規模が分かる。地域によって、対応すべき自然災害の種類は異なり、洪水、土砂崩れ、 地震、火山災害など、自然災害の多くは地形に関わる災害である。そのため、「地形」を軸とした地域の自然環境を理解して初て、より効果的に自然災害から命を守ることができる。また、防災意識を高めることと併せ自然災害が起きた時に確実に命を守れる防災力を高めるためにはどうしたら良いかを考えることが必要であると紹介されました。

2 身近な地域の地形環境を知る   ~仙台周辺の地形を事例に~


 「真の地域防災とは何か」についての考察を深めていくため、仙台を中心とした様々な地形をもとに「3D(赤青)メガネ及び空
中写真を見ながらの地形実体験、現地で作成した写真や動画を見ながらの解説、地域と自然環境・文献調査をもとにしたハザードマップと地形との対応や地域の歴史と防災文化などを解説など」をもとに、人工改変前の自然な状態の地形を分析することによって、行政のハザードマップにはなかなか載ることのない地域レベルの自然災害リスクなどが考えられ、地域の地形の成り立ちを知ることが、幅広い観点から確実に人の命を守ることが可能となることを教えていただきました。

3 防災を主軸に、多様な視点で「地域の価値」を見直す
 

地域の自然観や、先人から受け継いだ生活文化に改めて「防災」という新たな価値を見出し、現代の生活にそらを組み込んでいくことにより、結果として長い間隔で繰り返す自然災害に対応することが可能となり、「地形に着目した地域防災へのアプローチになるのではと強調されました。

4 地域の成り立ちを学んで防災を!


水本先生の研究成果には、ハザードマップには載っていない自然災害のリスクがしめされており、地形を知ることで地域の特徴を理解することができ、地域特有の自然との関わりの中に、真の地域防災が存在していることを教えていただきました。


              -本日の出席者は459名でした。ー