8/25 生涯健康脳

本日の講師は東北大学加齢医学研究所教授 瀧 靖之先生です。今回は『生涯健康脳』と題し最新の知見に加え学術的な内容も含め、認知症の予防と脳の研究により最新の医学と脳科学で何が分かったか「脳加齢研究の重要性、脳の加齢の増悪要因、脳の健康維持と認知症予防」について講演をいただきました。

講師先生紹介

東北大学加齢医学研究所 臨床加齢医学研究分野 教授
瀧 靖之( タキ ヤスユキ)先生
・平成5年 東北大学理学部卒業、同年東北大学医学部入学
・平成11年 東北大学医学部卒業、同大大学院医学系研究科博士課程入学
・平成15年3月終了。4月より東北大学病院医員
・平成24年8月 東北大学東北メディカル・メガバンク機構 教授
・平成29年4月 スマート・エイジング学際重点研究センター 副センター長
・東北大学発ベンチャー株式会社CogSmart 代表取締役最高科学責任者

※専門は大規模脳MRIデータベースを用いた脳の発達、加齢に関する研究

⒈ 脳加齢研究の重要性

 高齢化社会を迎え、生涯健康な脳を保つため、いつまでも個人、家族、社会、国それぞれが持続可能な社会を築くため、認知症などの原因が何かをデータベース化しどのような生活習慣が私たちの脳にとって良いのかについて研究を行っている。
⑴ 高齢化社会の進化
   ・1970年から2010年は少子高齢化社会、2020年から2050年には超高齢化社会となり若年者と高齢者が逆転。

⑵ 日本人の平均寿命と健康寿命
 ・今後、日本人の平均寿命は男性84歳、女性91歳を超えることが予想される。

⑶ 認知症がもたらす負担
 ・認知症がもたらす負担金は国内だけで年間約17兆円に上る。

⑷ 生涯健康脳
 ・1脳MRI 2認知力 3生活習慣 4遺伝子のデータベース化

⒉ 脳の加齢の増悪要因

⑴ 飲酒は脳萎縮の原因になる
 ・飲まない人は無理に飲まない。飲める人はほどほどに、飲みすぎないよう注意する。

⑵ 喫煙も脳萎縮の原因になる
 ・肺胞を壊し、酸欠を招き脳に大きなダメージを与え、認知症リスクを1.6倍高める。

⑶ 肥満 《食事等でのコントロールが必要》
 ・女性は皮下脂肪型・・・・あまり影響はない。
 ・男性は内臓脂肪肥満・・・動脈硬化を招く。

⑷ うつ病
 ・軽度のうつでも前頭葉の萎縮が見られ、より進行すると海馬の萎縮も見られることが明らかになっている。
 ・認知症リスクを1.9倍高める。

⒊ 脳の健康維持と認知症予防の重要な要因

 人間は年を取ることにより脳は萎縮してくるが年を取っても楽しく生活することにより脳の白 質内のネットワークは増加し成長する。
⑴ 特にエビデンスレベルの高いもの
  (エビデンスレベルとは科学的根拠の信頼性の度合)
 1)運動
  ・脳に対し最も大事なことは運動に勝るものはない。運動をすることで海馬の堆積が増え記憶力が上がる。

 2)趣味・好奇心
  ・知的好奇心を持つことにより脳の加齢を抑え、好むことにより記憶力が高まる。

 3)会話・社会との関わり
・会話等をすることで、感情、共感性、社会性などたくさんのことが必要となり認知症リスクが低下する。

⑵ エビデンスレベルの高いもの
 1)食 事
・バランスよく、カロリーを控えめにし魚介類、野菜中心に食事が脳の健康に重要。
 2)睡 眠
・寝ることで脳の老廃物を洗い流し、記憶が固定され我々の体にとって非常に大切なことが行われている。
  3)幸福感
・主観的な幸福感を上げることによりストレスが減り、病気のリスクを下げる。
⑶ まとめ

 

 

 

 

 

 

 

 


瀧先生は、明治青年大学の皆さんは当たり前のこととして実行していると思います。脳の健康維持が如何に重要なことかを再認識していただき何時までも健康であることは幸せなことだと思い。ぜひ今日の学習を参考にして下さいと話され講演を締めくくられました。

 『さあ明治青年大学の学生の皆さん、今日講義いただいた項目には何時でも、何処でも出来ることがたくさんありました。すでに実行されている方が多数おられることと思いますが、生涯健康な脳を目指し今日からエビデンスレベルの高いものを一つ、2つと加えて実践し人生100年、共に元気に社会生活を謳歌しましょう。』

 

本日の学習会出席者数233名でした。