2/28 最新医科学が明かす骨の驚くべき役割     ~内臓としての骨~

本日の講義は「骨は全ての血球の源」であり、カルシュウムは骨だけじゃない!
全ての細胞がカルシウムで働く!と題して骨の驚くべき役割について、お話し頂きました。

講師紹介        トウモンダ タカヒデ
尚絅学院大学大学院教授 東門田 誠一 先生
2005年3月 東京大学大学院医学系研究科単位取得
2005年4月 理化学研究所脳科学総合研究センター
        リサーチアソシエーター
2007年8月 慶応義塾大学医学部整形外科学教室 助教授
2016年4月 尚絅学院大学 総合人間科学部健康栄養学科 准教授
2023年4月 尚絅学院大学 総合人間科学部健康栄養部門 教授

1.世界最先端の高齢社会日本

令和4年の総人口1億1,459万人に対して令和52年には8,700万人になり
令和4年の65歳以上3.4人に一人が令和52年には2.6人一人となり
75歳以上では6.7人に一人が4人に一人になると予想されます。
高齢化率は令和4年の29.0%から令和52年には38.7%と推定されます。

2.長寿社会とはいっても、多くの方が健康な生活を過ごせていない!

65歳以上の要介護等認定者は668.9万人で80歳以上では半数を超え骨折があると1年以内に亡くなる人が8割に上る。
3.要介護等の家族の状況

要介護者等から見た主な介護者の続柄は下図の通りで老々介護も含めて家族の負担が大きい

4.骨の強さは何によって決まる?

健康な骨の強度は釘とヤスリの中ほどであり、鉄筋の役割をするタンパク質とコンクリートに相当するカルシウムが
相まって適度な強度を保持する。(骨強度=骨密度+骨質)

5.骨代謝(骨代謝回転)って何だろう?

骨吸収(古くなった骨を壊す)と骨形成(新しい骨を作る)のバランスが大事であり骨は常に作り変えられる。

6.加齢に伴う骨量減少のしくみ

骨芽細胞機能の低下・破骨細胞機能の低下・ビタミンD量の低下・カルシウム量の低下で徐々に骨が減っていく

7.閉経に伴う骨量の減少のしくみ

閉経に伴い骨量が減少していくのは、破骨細胞の数の増加・破骨細胞機能の活発化・骨芽細胞機能の活発化で
急激に骨が減っていく。骨の吸収を行う破骨細胞は女性ホルモン(エストロゲン)により細胞死を迎える。

8.骨はすべての血球の源

骨髄は骨の中の血球の製造工場であり、白血球(病原体から体を守る)・赤血球(体内に栄養を運ぶ)
・血小板(出血を止める)に不足や異常が起こった場合に補充する。

9.カルシウムは骨だけじゃない!

人の体は60兆個の細胞からなり、全ての細胞がカルシウムで働く!
カルシウム吸収と骨形成の流れは下図の通りであり、ビタミンDとビタミンKの働きにより骨が形成される。
ビタミンDが不足すると骨軟化症になる。1日に20分位歩くと骨を強くできる。
骨折は西日本が多いのは東日本と違い納豆を食べる人が少ないためと思われる。
納豆は夜食べたほうがベターであり血液をサラサラにして血流をよくする。
最後に骨形成に良いこととして
1.日光に当たる
2.激しい運動は避けて程よい運動をする
3.酒とコーヒーの飲みすぎは良くない(放尿によりカルシウムが放出される)として締めくくられました。

本日の出席者は506名でした。